KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
カバーストーリー 無料会員限定
Canada Moves Ahead on Carbon Taxes, Leaving the U.S. Behind

米国はトランプをカナダは炭素税を選んだ

ワシントン州で炭素価格制度が否決されたが、隣のカナダで、炭素税は当たり前になっている。 by Peter Fairley2016.11.22

米国の気候政策にとって、気候変動の否定論者であるドナルド・トランプ共和党候補の勝利は、今月起きた最初の大きな痛手のひとつだ。もうひとつの痛手は、ワシントン州の「イニシアチブ732」が大差で否決されたことだ。炭素税は、温室効果ガス排出量を削減する最も効果的なメカニズムだと経済学者は考えており、二酸化炭素の排出に課税することで既存の税を軽減し、炭素税に共和・民主両党からの支持が得られることを証明するはずだった。

ワシントン州が炭素税法案を59対41で否決したのとは対照的に、世界最長の国境線の向こう側にあるカナダで、炭素税は政治的に幅広い支持を集めている。2017年にはカナダ人口の5分の4が居住する州で炭素税制度が実現し、2018年には全てのカナダ人が炭素税を払うことになりそうだ。

ワシントン州で否決された政策も、カナダで順潮に進む炭素価格制度も、ブリティッシュコロンビア州(カナダ)で2008年に導入された北米初の炭素税が起源であることは同じだ。ブリティッシュコロンビア州では、州内で消費される化石燃料に対して、二酸化炭素1トン当たり10カナダドル(7.40米ドル)が課税され、その後2012年までにトン当たり30カナダドルに増税された。ブリティッシュコロンビア州の炭素税は税収中立(増税分と減税分が等しいこと)で、炭素税による歳入は法人・個人の所得税減税に使われた。

多くの学術研究によって、ブリティッシュコロンビア州の炭素税は経済成長を阻害せず、二酸化炭素排出量を5~15%削減し、低所得家庭への影響を打ち消す特別減税が成功したとわかっている。オタワ大学のニコラス・リバーズ准教授(エネルギー経済モデリング)は「この税は高度に累進的です」という。

ワシントン州の炭素税も同様に、来年からトン当たり15ドル(たとえばガソリン3.8リットル当たり約15セント)の課税で始め、2018年までに25ドルに増やし、その後は毎年3.5%にインフレ分を加味して、トン当たり100ドルになるまで増税するはずだった。また、税収は既存の税の減税と低所得家庭への税 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
  2. The 8 worst technology failures of 2024 MITTRが選ぶ、 2024年に「やらかした」 テクノロジー8選
  3. AI’s search for more energy is growing more urgent 生成AIの隠れた代償、激増するデータセンターの環境負荷
▼Promotion 冬割 年間購読料20%off
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る