二酸化炭素は気候変動の原因として悪名高いが、実際にはメタンの方がはるかに強力な温室効果ガスだ。
地球上のメタンの量は二酸化炭素ほど多くなく、その温暖化効果もそれほど長期間には及ばない。しかし、分子レベルで比較した場合、最初の20年間でメタンは二酸化炭素の84倍の熱を取り込む。
この事実は、5月20日に「ネイチャー・サステナビリティ(Nature Sustainability)」に掲載されたある論文で提案されている独自のアイデアの基盤となった。そのアイデアとは、数十億トンのメタンを大気中から回収するシステムを開発すれば、それよりはるかに多くの二酸化炭素を削減するよりも、短期的にはより高い温暖化抑制効果が得られるというものだ。
「メタンを削減することで、(より大規模な)二酸化炭素排出量の問題を解決するために必要な時間を大きく稼ぐことができます」。そう語ったのは、今回の論文の筆頭著者であるスタンフォード大学のロブ・ジャクソン教授(地球システム科学)だ。
メタン除去のアイデアが浮上したのは今回が初めてではない。だがジャクソン教授と共著者らは、気候的利点と実践方法について詳細に研究した。具体的には、ゼオライトの利用を提案している。ゼオライトはミクロ多孔性の鉱物の分類の1つで、工業用触媒として一般に利用されている。
現在の大半の科学モデルは、温暖化のしきい値となる危険水域の突破を防ぐには、地球上から大量の二酸化炭素を除去する必要があることを示している。これは、二酸化炭素のこれまでの排出量と化石燃料からの移行がほとんど進んでいないことを勘案した結果だ。実際、クライムワークス(Climeworks)やグローバル・サーモスタット(Global Thermostat)、カーボン・エンジニア …