KADOKAWA Technology Review
×
深層学習でカクテルパーティ効果を再現、「脳を読む」補聴器
Samantha Gades| Unspalsh
人工知能(AI) 無料会員限定
Hearing aids that read your brain will know who you want to hear

深層学習でカクテルパーティ効果を再現、「脳を読む」補聴器

騒音の中で会話をする相手の声だけを判別できる「カクテルパーティ効果」を再現できるシステムをコロンビア大学の研究チームが開発している。測定した脳波のデータをもとに、集中したい人の声だけを増幅できるという。 by Charlotte Jee2019.05.20

騒がしいパブの中で、親友と楽しく話している場面を想像してみよう。騒々しい中でも、あなたは周囲の雑音にフィルターをかけて相手の声に集中し、友人が語るとっておきの噂話をすべて聴き取ることができる。「カクテルパーティ効果」と呼ばれるこの現象は、多くの人に自然に起こるものだ。しかし補聴器の利用者にとって、無関係の雑音に対処することは難しく、非常にフラストレーションを伴う場合がある。

だが、そんな状況を一変させる可能性のある新しいシステムが開発されている。このシステムは、ユーザーが声を聞きたがっている相手を感知し、その人の声を増幅させることが可能なのだ。聞き手の意図を把握するために、このシステムは音を処理する機能を持つ脳の聴覚野(耳のすぐ内側にある)に取り付けた電極を使用する。脳がそれぞれの声に集中すると、システムはそれぞれの話者に対応する電気的なシグネチャーを生成する。

異なる声を区別するよう訓練された深層学習アルゴリズムが、このシグネチャーを、その場にいるさまざまな話者のシグネチャーと比較し、一致度の最も高い声を増幅させ、聞き手が聴こうとしている声に集中するのを …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Who’s to blame for climate change? It’s surprisingly complicated. CO2排出「責任論」、単一指標では語れない複雑な現実
  2. Who’s to blame for climate change? It’s surprisingly complicated. CO2排出「責任論」、単一指標では語れない複雑な現実
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る