人工知能(AI)が医療を変える可能性は大きいが、落とし穴もある。
機械学習によって病気の原因を発見し、把握するという新しく頼もしい手法を実現するには、AIアルゴリズムを訓練するための膨大なデータが必要なのだ。具体的には、医用画像やゲノム情報、電子健康記録(EHR)などのデータであり、いずれも極めて慎重に扱う必要がある情報だ。
そこで研究者は、医療データが漏えいしないよう細心の注意を払いつつ、AIに大量のデータを学習させる方法の開発に取り組んでいる。
カリフォルニア州にあるスタンフォード大学医学部は現在、この問題を解決すべく、ある有望な方法に対して、初の大規模な試験を実施している。この試験では、被験者がAIシステムに提供する自身の医療データを選択できる。AIシステムは実際に詳細な個人情報にアクセスしなくても、眼疾患を診断できるように訓練できる。
被験者は眼科の診察結果と健康に関する記録データをアプリを使って提出する。被験者が 提出した情報は、画像から眼疾患の兆候を特定する機械学習モデルを訓練するために使われる。このデータは、カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)からスピンアウトしたスタートアップ企業、オアシス・ラボ(Oasis Labs)が開発したテクノロジーで保護されており、情報が漏えいしたり、悪用されたりしないことが保証されている。オアシス・ラボは最近、当局から試験運用を開始する許可を与えられたばかりだ。
患者個人のデータをいかにして慎重に …