同業科学者たちの懐疑的な見方にもかかわらず、二酸化炭素を大気から除去しようと何年間も取り組んできた少人数の科学者グループが、今、急激に脚光を浴びている。
アイルランドのダブリンに拠点を置くスタートアップ企業であるシリコン・キングダム・ホールディングス(Silicon Kingdom Holdings)は4月29日、この分野の先駆者であるアリゾナ州立大学のクラウス・ラックナー教授が開発した炭素回収テクノロジーの権利を取得したことを発表した。同社は、まず1日当たり100トンの二酸化炭素を回収できるパイロット・プロジェクトを立ち上げ、最終的には毎年約400万トンを回収できる本格的なプラントを構築したいとしている。
今回の発表は、「大気からの直接回収」を手掛ける他のスタートアップ企業に対する最近の一連の資金調達に続くものだ。カナダのカルガリーに本拠を置くカーボン・エンジニアリング(Carbon Engineering)はこの3月、BHP、シェブロン、オキシデンタル・ペトロリアムなどの大手石油ガス会社からの出資を含め、7000万ドルの追加出資を受けたと発表した。 昨年末には、スイスのチューリッヒにあるクライムワークス(Climeworks)が3000万ドル以上の追加資金を確保し、総資金調達額が5000万ドルを超えたと発表している。
さらに、フィナンシャル・タイムズ紙は、グローバル・サーモスタット(Global Thermostat)が2000万ドルの資金調達ラウンドに入っていると報道した。最後は、Yコンビネーターだ。同社はプロメテウス(Prometheus)というカリフォルニア州の企業に出資した。プロメテウスの創業者は、利益を確保した上で価格競争力がある燃料を来年供給する、というかなりうさんくさい主張をしている(「Yコンビネーター、二酸化炭素回収貯留ベンチャーを募集」を参照)。
増大する気候 …