数多くの研究が、貧困国は今後、気候変動が原因で非常に大規模な荒廃に苦しむだろうと予測してきた(「気候変動で日本のGDPは35%減少、ロシアは419%増加」を参照)。だが新たな分析により、そういった傾向は数十年前からすでに生じていたことが判明した。
米国科学アカデミー紀要で4月22日に発表された論文によると、気温の上昇により、1961年から2010年までの間に、世界の貧困国の1人当たりの国内総生産(GDP)が17~31%減少したという。さらに、その結果として、貧困国と富裕国の間の経済生産高の格差は、地球温暖化がなかったと想定した場合よりも25%余計に拡大したという。この半世紀の間、不平等の縮小に向かってポジティブな変化が見られたが、地球温暖化がその動きを鈍らせたことになる。
それらはすべて、地球の気温が1℃ほど上昇しただけで起こったことだが、今後それよりもはるかに悪い変化が起ころうとしている。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、地球の気温は早ければ2030年までに1.5℃上昇し、今世紀末までには4℃上昇する可能性があるという。
最悪の経済的影響に苦しんでいる国々の二酸化炭素排出量が最少であるという事実により、不平等は一層深刻になってきている。これまでの二酸化炭素排出量を現在の人口で割った値が300トンを超える19カ国の富裕国のうち、14カ国はこれまでのところ …