過去20年間で、西側世界の多くで、出会いを求めてインターネットのデートサイトを利用する人が増えてきた。西暦2000年、恋人を探すためにインターネットを利用した人は数十万人だった。現在、その数は優に3億人を超えている。
この変化は、人間がどうやって恋の相手を探すのかを研究する人類学者たちにとって大きな意味を持つ。これまでは、十分な量の良質なデータが不足していたため、こうした研究はかなり困難だった。しかし、デートサイトがもたらすデータのおかげで状況は変わった。
人類学者たちは突如として、誰が誰にメッセージを送り、誰が返信しているのかといった情報を手に入れられるようになったのだ。そこから、人間の恋人選びの本質について、かつてないほど多くの洞察が得られるようになりつつある。では、そこから何が見えてくるのだろうか。
ミシガン大学のエリザベス・ブルク准教授とマーク・ニューマン准教授が、一つの答えを教えてくれた。両准教授は、ある人気のオンラインデートサイト(サイト名は伏せている)を実際に利用している400万人ほどの行動を分析した。得られた結果は、男性の方が最初に連絡を取る傾向にあるなど、大体予想通りのものだった。しかし一方で、全米各地の人々がどのようにデートしているかに関して、説明はつかないが興味深い違いも見えてきた。
ブルク准教授らは、2014年1月に異性間で送信されたメッセージを集め、それらのメッセージによって形成されたネットワークを分析した。ネットワークの中で、ユーザーは点で表され、ふたつの点の間でメッセージが1回送信されていれば、そこにリンクが張られる。研究者らは特に、互いに送受信が交わされたメッセー …