人工知能(AI)が誕生してから数十年になるが、この間、AI分野の研究は大きく2つの陣営に分類されてきた。「シンボリスト」が論理的な規則と世界の表象をコーディングすることで知性を宿す機械を構築しようとする一方で、生物学に触発された「コネクショニスト」は、人工ニューラル・ネットワークを構築することで世界について学ぼうとしてきた。2つのグループはこれまで、相性が良いといえる関係ではなかった。
だがマサチューセッツ工科大学(MIT)とIBM、ディープマインド(DeepMind)の研究チームによる最新の論文は、2つのアプローチを組み合わせた力を示しており、AIの将来の方向性を指し示すものと見られている。
ジョシュア・テネンバウム教授率いるMITの脳・知性・機械センターのチームは、「ニューロシンボリック・コンセプト・ラーナー(NS-CL)」と呼ばれるコンピューター・プログラムを作成した。子どもが周囲を見回したり話したりするように、世界(簡易版ではあるが)について学ぶプログラムだ。
NS-CLシステムはいくつかの部分から構成される。1つのニューラル・ネットワークは、少数の物体で構成される一連の場面に基づいて訓練されている。 もう1つのニューラル・ネットワークは、この場面に関する一連の文章に基づく問答で訓練されている。「問:球の色は何色ですか?」、「答:赤」といった具合だ。このネットワークは、自然言語の質問を、ある場面で実行されると答えを返す単純なプログラムに対応付けることを学ぶ。
NS-CLシステムはまた、「物体」 …