KADOKAWA Technology Review
×
2024年を代表する若きイノベーターたちに会える!【11/20】は東京・日本橋のIU35 Japan Summitへ
パンチカードで
人類初の月面着陸を支えた
最後の数学者の物語
Courtesy of Dennis Sager
カバーストーリー Insider Online限定
Meet the man who helped double-check the sums to keep Apollo 11 safe

パンチカードで
人類初の月面着陸を支えた
最後の数学者の物語

かつてNASAには大型コンピューターが出した計算結果を検算する「RTACF」と呼ばれる施設があった。現在は医師として働くRTACFの最後の職員デニス・セイガーに当時を振り返ってもらった。 by Erin Winick2019.04.16

今年7月に迎えるアポロ11号の月面着陸50周年に向け、MITテクノロジーレビューでは月面着陸を実現した人々のエピソードを紹介していく。今回は、デニス・セイガーの物語だ。最新記事『アポロ11乗組員が月に残した人類初の「足跡」、影の立役者の物語』もぜひ併せて読んでほしい。

宇宙空間において、計算は常に正確でなければならない。つまり大抵の場合、誰かに計算結果をチェックしてもらう必要がある。アポロ計画における計算の大部分は、1フロアを埋め尽くしたIBM製のコンピューター「リアルタイム複合計算機システム(RTCC)」が使われた。しかし、一連の重要なミッションを1つのコンピューターに完全に頼ってしまうことは、米国航空宇宙局(NASA)にとって不十分だった。

そのためNASAは数学の専門家グループを雇い、古き良きパンチカードを使ってメインのコンピューターによる計算結果を再確認させてた。この再確認のための秘密部屋は、「リアルタイム補助計算施設(RTACF)」と呼ばれ、ジェミニ計画と初期のアポロ計画までの期間に稼働していた。デニス・セイガーは、当時テキサス州ヒューストンのビルディング30号棟にあったRTACFで作業にあたった、最年少の専門家の1人だった。

専門家グループは、コンピューターから提出された宿題の採点とともに、ジェミニ・アポロ両計画の不測の事態への備えや状況変化への対応を補助する任務も課されていた。RTCCがロケット打ち上げ前にプログラムやロケットの軌道を固定する一方、RTACFには機敏さが求められた。「私たちは飛行中にもリアルタイムで変更を加えることができました」とセイガーは語る。「事前に想定さえしなかったことでも、対応できたのです」。

セイガーが所属していたグループには、ハリケーンが …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. How ChatGPT search paves the way for AI agents 脱チャットGPTへ、オープンAIが強化するプラットフォーム戦略
  2. Promotion NIHONBASHI SPACE WEEK 2024 アジア最大級の宇宙ビジネスイベント、東京・日本橋でまもなく開催
  3. Promotion Innovators Under 35 Japan Summit 2024 in Nihonbashi 2024年のイノベーターが集結「U35 Summit」参加者募集中
  4. This AI-generated Minecraft may represent the future of real-time video generation AIがリアルタイムで作り出す、驚きのマイクラ風生成動画
  5. The winners of Innovators under 35 Japan 2024 have been announced MITTRが選ぶ、 日本発U35イノベーター 2024年版
  6. Inside a fusion energy facility 2026年の稼働目指す、コモンウェルスの核融合施設へ行ってみた
▼Promotion イノベーター under35 2024
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る