諸々の恒星の周りを回る惑星の探索は、産業規模に達している。天文学者たちは4000を超える太陽系外惑星を発見しているが、そのうち半分以上はケプラー宇宙望遠鏡からのデータを利用して発見された。ケプラーは、太陽系外惑星探索のために作られた地球周回軌道上の天文観測衛星だ。
2009年に打ち上げられたケプラーは、固定された視野を数ヶ月間観察し、惑星が前を通過することで生じる恒星の明るさのわずかな周期的変化を探す。
だが2012年にこのミッションはトラブルに陥った。ケプラーの4つのリアクションホイールのうち1つが故障したのだ。リアクションホイールは、探査機の姿勢を制御し、特定の方向を正確に向かせる役割を果たす。2013年には2つめのホイールが故障し、ミッションは危機に陥った。
エンジニアたちは解決策として、故障したケプラーを用いて、低精度でノイズの多いデータの収集を続ける方法を考案した。ミッションのこの部分はK2と名付けられた。天文学者たちはK2のデータからも新たな太陽系外惑星を発見し続けたが、発見率はそれまでよりもはるかに低くなった。
しかし、このことが興味深い可能性につながった。太陽系外惑星のしるしは依然として存在していることは確かだが、増えたノイズのせいで見落とされていた。もしノイズを体系的に取り除いて、結果として得られた信号を調べる方法を見つけられたら、見落とされた太陽系外惑星が見つかるかもしれない。
そこで登場したのが、テキサス大学オースティン校のアン・ダッティーロたちだ。ダッティーロらは、K2のデータを自動的に分析できる「アストロネットK2(AstroNet-K2)」という名の深層学習ニューラル・ネットワークを開発した。これによりK2データのマイニング処理が劇的に高速化し …