一般的に、ドローンは盲目だ。カメラを搭載する場合もあるが、障害物を避けて安全に飛行するのは人間の役割だ。しかし、下の映像に出てくる新型オクトプター(回転翼が8枚あるドローン)は小型で、試作版の軍用レーダーシステムで周囲を探知し、他の飛行機を追跡できる。
映像では、ドローンの離陸時、左のレーダー画像上に有刺鉄線のフェンスを検出していることがわかる。しばらくすると、レーダーは近くにいたもう1機のドローンを探知し、進路を追跡する。他の試験で、システムは小型の単発機と超軽量機を探知できた。
スタートアップ企業エコダインのテクノロジーは、アマゾンの夢「ドローン配送計画」を妨げている大きな課題を解決できるかもしれない。米国連邦航空局(FAA)は、人間による監督なしで運用するには、ドローンが他の飛行機を探知・回避するシステムが不可欠だとしている(「米、ドローン規制を29日緩和 日本はチャンスを潰すのか?」参照)。
今のところ解決策はない。インテルやスタートアップ企業スカイディオはカメラで樹木等の地上物を感知し、回避するシステムを発表している(「デアデビルドローンがエースのように木の間を通り抜ける」参照)。しかし、高度数十メートルを飛行中に飛行機を回避できるほどの視野はない。
エコダインは、自社のレーダーシステムを2017年上期には販売し、そのギャップを埋める考えだ。しかもエコダインは、レーダーシステムが周囲を探知して物体を認識し、追跡するための移相器という部品を小型化する方法を開発したという(“Metamaterial Radar May Improve Drone and Car Vision”参照)。現在、電子的にレーダーをスキャンには、移相器がかさばって複雑なため、ほとんどは軍事用で、何十万ドルもする。
エコダインのエーベン・フランケンベルグCEOは、複数のドローン企業が同社のテクノロジーを試験中だというが、秘密保持契約のため企業名は明かさなかった。
エコダインは自律自動車の開発用に、自動車でもレーダーを試験中だ。
現在開発中の各社の無人乗用車は、レーザー光線で周囲の世界を画像化する「ライダー(LIDER:レーザーによる画像検出・測距)」に大きく頼っている。(「ハッキリ言って自律自動車は醜くて高い」参照)。電子スキャンのレーダーはそれほど詳細に物体の形を検出できないが、フランケンベルグCEOは他のメリットがあるという。たとえば、レーダーは光線ではなく電波であり、雨が降っても性能に問題がなく、範囲がより広く、即時に車や他の物が動いている速度を検出できる。