「アレクサ、もっと賢くなれないのかい?」
アマゾンのアレクサ(Alexa)人工知能グループを率いるロイット・プラサド主席科学者が自身に問い続けている質問だ。また、人工知能(AI)の分野が、これまでに実際どれほどの進歩を果たし、まだまだ道は遠いことを我々に知らしめる質問でもある。
プラサド主席科学者は3月26日に開かれたMITテクノロジーレビュー主催のAIカンファレス「EmTechデジタル」で、AIアシスタントの知能の限界や、アレクサで使われているテクノロジーについて説明した。
アマゾンの人気バーチャル・アシスタントであるアレクサは、これまで順調な道のりを歩んできた。2014年、アマゾンはスマート・スピーカー「エコー(Echo)」のインターフェイスとして、忍耐強く、きびきびした朗らかな女性の声を備えたアレクサを発表した。エコーは、音声による質問や指示に応答する卓上デバイスで、部屋の端にいる人の声も聞きとれる。
2014年以来、エコー製品は1億個以上を売り上げている。エコーの成功に刺激されたグーグルやアップルは、急いで競合製品の製造に取り掛かった。バーチャル・アシスタントはいまやテレビ、自動車、ヘッドフォン、ベビーモニター、トイレなど何百もの種類のデバイスに導入されている。
バーチャル・アシスタントがこれほど普及しているのは、ソフトウェアが単純なリクエストに答えるのがいかに上手くなったかを示す証である。ユーザーは役に立たないバーチャルアシスタントには我慢できないからだ。しかし、長く使用していると、テクノロジーの欠点が姿を見せ始める。アレクサは追加の質問や「うーん」といった言葉に簡単に混乱してしま …