高すぎる創薬コスト、
「イールームの法則」は
機械学習で覆せるか?
飛躍的に増加する創薬コストを抑えるために、機械学習の活用が注目されている。だが、患者のプライバシー保護のためにデータの共有が著しく制限されており、機械学習に必要な規模の良質なデータを手に入れるのは困難な状態にあるという。 by Bobbie Johnson2019.04.03
「イールーム(Eroom)の法則」について聞いたことがあるだろうか?バイオテクノロジー分野の法則(そしてジョーク)である。新薬開発のテクノロジーが向上するにつれて、医薬品が安くなるどころか、ますます高価になっていくことを意味している。
イールームは、指数関数的な成長についての有名な格言、「ムーアの法則(Moore's law)」のムーアの逆さ言葉だ。実際、インシトロ(Insitro)の創業者兼CEO(最高経営責任者)のダフネ・コラーによると、新薬を市場に出すまでにかかるコストは、30年前に2億ドルだったのが、現在では25億ドルにまで高騰しているという。
MITテクノロジーレビュー主催のカンファレンス「EmTechデジタル(EmTech Digital)」に登壇したコラーCEOは、開発経費の増大傾向を逆転させるために第一線の研究者や科学者たちが、人工知能(AI)アルゴリズムと機械学習をどのように利用しようとしているかについて解説した。
「創薬は予測の問題です。予測を立てるのは、機械学習が実に得意とするところです。このため、機械学習がコストダウンに役立つ可能性があります」。
創薬コストの増大には規制監督をはじめとするさまざまな要因が関わっている。インシトロは、2021年を目途とする第一弾の創薬に向けて、システムやデータを整備しているとコラーCEOは付け加えた。
しかしながらコラ …
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