物流業界が配送時間の短縮に向けた取り組みの大半を配送経路の最適化に重点を置いている一方で、ドライバーらが時間の大半を費やしているのは配送経路ではない。
実際、ドライバーが労働時間の75%を割いているは、「ラストマイル」の配送ではなく、配送センターでの待機や駐車スペース探し、顧客とのやり取りに費やす最後の「100メートル」だという。そう話すのは、自律配送経路・配車指示ソフトウェアの開発を手がけるスタートアップ企業であるワイズ・システムズ(Wise Systems:本社マサチューセッツ州ケンブリッジ)のチャズ・シムズCEO(最高経営責任者)だ。
ワイズ・システムズはデータと機械学習ツールを使って、こうした業務に関わる時間が、時間帯や特定の顧客、当該商品、配送スタッフによって大きく異なることを突き止めた。たとえば、ある配送先の店舗では特定の時間帯に接客対応が忙しくなったり、別の時間には複数の配送トラックから荷を受け取るのにかかりきりになったりする。これらのパターンを突き止めスケジュールを組み替えることで、ワイズ・システムズは配送時間とコストを削減するという。
ワイズ・システムズのツールは天候、交通、配送センターにある荷物量など、その他の変化する状況に対応し、自動的に1日の配送経路、ドライバー、スケジュールを調整する。ワイズ・システムズ屈指の大口顧客であるアンハイザー・ブッシュ(バドワイザーで有名なビールメーカー)では全車両のデータを分析することで、配送の遅れを85%、配送距離を13%減らすことができた。
2014年設立のワイズ・システムズは昨年末、グーグルのAIファンドから700万ドルの資金を調達した。