地球を飛び立ち、32憶キロメートルも旅して、たどり着いた場所は宇宙を漂う石塊だった。だが幸いにも、惑星探査機「はやぶさ2」が訪れた地球近傍小惑星「リュウグウ(Ryugu)」は、単なる石塊よりずっと興味深いもののようだ。宇宙で岩石がどう形成されるかについてユニークな知見を与えてくれるだけでなく、 地球に水が出現した過程についても、リュウグウはさらなる手がかりを示してくれている。
2014年12月3日に打ち上げられた「はやぶさ2」の探査ミッションは、これまでにリュウグウの撮像や走査を多数実施してきた。小惑星表面にホッピング移動式の探査ロボットを配置したり、 リュウグウへ弾丸を撃ちんだりすることで、リュウグウ表面の地質についてより多くのことが分かった。 3月19日にサイエンス誌に掲載された 3つの論文は、 こうして得られたデータに基づいて、リュウグウの密度、質量、形状、回転を計測している。これらの発見は、はやぶさ2が2020年に地球に持ち帰る予定となっている岩石のサンプルを、科学者たちがより深く理解するの役立つはずだ。
はやぶさ2の探査によりこれまでに分かったことは以下の通りだ。
驚きの発見はほかにもある。今回発表された論文の主執筆者の一人である東京大学の杉田精司教授は「一番驚いたのは、リュウグウの地表が同色のボルダー(岩塊)で覆われていることでした」と述べた。 これが意味するのは恐らく、リュウグウの親の小惑星(リュグウの元になった、より大きな天体)は …