シリコンバレーの企業23アンドミー(23andMe)は、「誰もが自分の遺伝情報を知る権利がある」をモットーに掲げ、消費者直販型の遺伝子検査を提供している。その23アンドミーが新たに発表した、遺伝情報を用いた新たな疾患予測サービスが論争を招いている。
23アンドミーは3月8日、オースティンで開催されたSXSWフェスティバルに合わせて、2型糖尿病へのかかりやすさを個人の遺伝情報から判断する計画を発表した。同社の数百万人の顧客には3月11日以降、自分の2型糖尿病のリスクに関するレポートが送られる。
このレポートは多遺伝子リスクスコアに基づいている。 多遺伝子リスクスコアとは、個人がある疾患にかかる確率を遺伝情報をもとに予測する方法だ。
23アンドミーによると、この新たな検査では、ゲノム配列の1244カ所をもとに2型糖尿病のリスクを判断するという。これらのカ所は、それぞれが少しずつ2型糖尿病へのかかりやすさに関与している。
顧客のおよそ80%が中程度のリスク、20%がハイリスクと通知される見込みだ。ハイリスクに分類される顧客だけに、「5分の3の確率で2型糖尿病にかかる」といった細かな情報が伝えられる。
専門家は、このレポートの導入に疑問を投げかけている。多遺伝子リスクスコアに基づいた判断は、一見確実であるように見えるものの、正確性が高いわけではなく、健康に役立つことも証明されていないという。ハーバード大学公衆衛生大学院の疫学者であるピーター・クラフト教授は、「これは大規模な『実験』だと思います。何百人もの顧客を対象にしていますが、まだ分かっていないことがたくさんあります」と述べている。
23アンドミーがメディア向けに提供したレポートのサンプルには、架空のラテン系顧客「ジェイミー」の事例が描かれている。ジェイミーは、糖尿病になるリスクが高い遺伝子を持っていることを知る。そして、月額19.99ドルの健康管理アプリ「ラーク(Lark)」の購入をすすめられる。ラークは、23アンドミーの提携企業が販売するアプリである。
レポートは派手な最新科学に基づいている。いまや、十分な人数の人々からDNAを集めれば、DNAから個人の特徴を予測す …