「本気でソフトウェアに取り組むなら、ハードウェアも自分で作るべきだ」
テック企業は、コンピューター科学者アラン・ケイの有名な言葉をよく引き合いに出す。最近のグーグルのモットーは「人工知能(AI)に本気で取り組むなら、ハードウェアも自分で作る。しかも、なるべく高い値段で売るべきだ」となるだろう。
この戦略は、10月20日に発売された、グーグル初の自社設計スマホ「ピクセル(Pixel)」に反映されている。
ピクセル以前、グーグルはネクサス(Nexus)ブランドのスマホをメーカーと共同開発し、オンラインで(最低限のコストをまかなえる程度の低価格で)販売してきた。Nexusはより多くのユーザーをグーグルのサービスに取り込み、主要事業であるネット広告を支えた。
一方、Pixelはグーグルの人工知能(AI)分野における独創性、特にユーザーの「自分専用グーグル」を実現するバーチャル・アシスタントの収益化を加速させる。さらにバーチャル・アシスタントは、(Mac OSにも搭載されたアップルのSiriと同様に)グーグルが設計したガジェットの全製品を通じて、一貫性のある使い心地(エクスペリエンス)をもたらすだろう。
グーグルは、ユーザーがさまざまな電子機器に搭載されたバーチャル・アシスタントに話しかけることで情報を得る対話型インターフェイスの世界に向かうことになる。Pixelは、新しいインターフェイスと、その性能を高めるAIに賭けるグーグルにとっての試金石なのだ。同時にグーグルは、自社のサービスをハードウェアに深く統合させ、一貫性のあるエコシステムを形成す製品ラインアップを揃え、ネット広告を上回る収益を上げられるか模索しているのだ。その結末は、グーグルが進化し、検索事業による支配的な立場を維持できるかどうか …