2015年12月に開催された第1回ヒトゲノム編集国際サミットの後、ある声明が発表された。安全性が確実になるまで、遺伝子を改変した子どもを誕生させることは「無責任である」ということに、主催者らが全会一致で合意したというものだ。
しかし、その声明は効果がなかったようだ。MITテクノロジーレビューは昨年11月、中国人科学者の賀建奎(フー・ジェンクイ)准教授(当時)が、ヒト胚にゲノム編集を施して、遺伝子を改変した双子を誕生させたことを明らかにした。現在、人間の能力を強化するために、このテクノロジーを積極的に利用しようとするグループもある。
このような状況を踏まえて、遺伝子編集分野の著名な科学者たち(2015年の声明に署名した者も含まれる)が、遺伝的な改変を目的に精子や卵細胞を編集するすべてのヒト生殖細胞編集を世界的に一時的に停止するよう呼びかけた。
3月11日付けのネイチャー誌の公開書簡で、エマニュエル・シャルパンティエ教授、エリック・ランダー教授、フェン・チャン教授などクリスパー(CRISPR)の開発分野の第一人者たちが、7カ国の同僚らとともに、取り扱い方針について国際的な枠組みが合意されるまでヒト生殖細胞編集を完全に禁止することを求めた。5年間の停止期間を設けるのが「適切であろう」と提案している。米国立衛生研究所(NIH)もこの呼びかけを支持している。
公開書簡に署名した人たちは、自発的に世界規模でヒト生殖細胞編集を停 …