暗号通貨の世界はバズワードだらけだが、マーケティング用に体裁を整えられたその外側をひと皮ずつむいていくと、その下からイノベーションが顔をのぞかせることもある。それと同時に、暗号通貨テクノロジーの歴史上、イノベーションがいかに初期の段階にあるかを思い知らされることも少なくない。その最たる例が、「ブロックチェーン・スマホ」だ。
突如として暗号通貨に焦点を当てた携帯電話が、ここのところ市場に出回り始めている。最大のプレイヤーは、韓国のサムスンだ。サムスンが2月に発表した「ギャラクシーS10(Galaxy S10)」には暗号通貨の秘密鍵を保管する安全なストレージ・システムが搭載されている。サムスンはこれで、何カ月にも渡って「エクソダス・ワン(Exodus 1)」のをアピールしてきた台湾のHTC、莫大な新規暗号通貨公開(ICO)の利益を使ってフィニー(Finney)を開発したスイスのシリン・ラブズ(Sirin Labs)、そして暗号通貨のマイニングが可能な80ドルのアンドロイド携帯電話を2月末に発売した英国のエレクトリウム(Electroneum)の仲間入りをすることになる。
相次ぐブロックチェーン・スマホの登場にはどんな意味があるのだろうか? もっとも熱心なブロックチェーン愛好家の途方もない夢の中では、これらのデバイスは「Web 3.0」とも呼ばれる非中央集権型Webへの入り口となるだろう。この「次のインターネット」の世界では、ブロックチェーンのようなテクノロジーが、非中央集権型アプリケーション(ダップス:Dapps)をサポートすることになるだろう。見た目も使い勝手も現在使われているモバイル・アプリに似ていながら、大手テック企業の専用サーバーの代わりにパブリックなP2P(ピア・ツーピア)ネットワーク上で実行されるアプリケーションだ。
暗号通貨とダップスの幅広い普及を妨げているのが、特にテクノロジーに精通していな …