新薬開発の最新トレンド、病気の発症を抑える遺伝子変異を探せ
遺伝子的には重篤な病気が発症しているはずなのに、実際にはそうでない人たちがいる。そうした人たちは、疾患を引き起こすのとは別の遺伝子変異が、病気の発症を抑えていることが多い。遺伝子データベースからこうした人たちのDNAデータを掘り起こすことが、新薬開発の最新トレンドとなっている。 by Antonio Regalado2019.03.05
重篤な血液疾患の1つである鎌状赤血球症は、ヘモグロビン遺伝子内における一文字の綴りミスによって発症する。ただしそのエラーを受け継いだ人たちが全員、鎌状赤血球症を発症するわけではない。
2008年には科学者たちはその理由をすでに突き止めていた。鎌状赤血球症の遺伝子エラーを受け継いだ人たちの中には、2つ目の遺伝子異常を持つ人がいる。そうした人たちは体内で常に胎児ヘモグロビンを作り出し続けている。胎児ヘモグロビンは、酸素を運ぶ物質の一種で、通常は胎児が出生した時点で生成されなくなるものなのだ。
この2つ目の遺伝子変化が変更遺伝子として作用し、疾患に対する遺伝子的抑制剤として働く。
現在、メイズ・セラピューティクス(Maze Therapeutics)というスタートアップ企業が、サード・ロック・ベンチャーズ(Third Rock Ventures)やアーク・ベンチャー・パートナーズ(ARCH Venture Partners)などの投資家から1億9100万ドルもの巨額の出資を得て、変更遺伝子を研究して鎌状赤血球症患者の症状を最小限に抑える新薬を作り出そうとしている。
メイズ・セラピューティクスは、病気にかかる人がいる一方で、かからない …
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