MITTRが選ぶ、世界を変えた「ローテクなイノベーション」10選
世界の人々の生活をより良くする発明は、最先端のテクノロジーを使っている必要はない。むしろ、シンプルで安価なローテクこそが、役に立つ場面も少なくない。 by MIT Technology Review Editors2019.03.12
経口補水塩
1990年初頭までは、下痢性疾患により5歳未満の子どもが毎年500万人ほど死亡していた。現在この数は、経口補水塩のおかげで約150万人まで低下している。経口補水塩は、塩と砂糖の混合物であり、水に溶かして自宅で投与できる。下痢の症状を軽減させたり、期間を短縮させたりするために、亜鉛を経口補水塩に加えることもある。このシンプルなイノベーションは他と比べて、より多くの命をより低い費用で救っている。
安価で省電力の灌漑
灌漑(かんがい)は、ほとんどの国で淡水を大量に使用しており、淡水使用量全体のおよそ4分の3を占めている。「点滴灌漑」を使えば、従来の灌漑の半分の水の量で済むうえ、生産性は1.5倍になる。しかし、点滴灌漑はコストがかかり、電力も必要になる。マサチューセッツ工科大学(MIT)のGEARラボは、太陽光発電式の低圧の点滴灌漑システムを開発した。このシステムは、点滴灌漑のメリットを非常に低コストで提供できる。
直流電源マイクロ送電網
太陽電池を使用すれば、非中央集権型の電力を安価に実現できる。だが、通常の家庭向け送電網で使う従来機器を太陽電池に接続しようとすると、太陽電池が生成する直流電流を交流に変換したり、交流から再度直流に戻したりするオーバーヘッドが大きくなる。上手く設計された小規模直流ネットワークでは、直流と交流を変換する必要性を排除することで、相当量のエネルギーを節約 …
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