アマゾンとグーグルはなぜスピーカーで戦っているのか?
グーグルとアマゾンは、家庭内バーチャルアシスタントの必要性を証明しようと、しのぎを削っている。両社の争いは、スマートスピーカーにとっては最高の状況かもしれない。 by Tom Simonite2016.11.07
グーグルが開発した家庭用小型スピーカー「グーグル・ホーム」は、音声アシスタント機能内蔵で、アマゾンのアイデアのほぼ丸パクリだ。
米国で11月4日に販売開始のグーグル・ホームはアマゾン・エコーの対抗商品で、部屋のどこにいてもマイクで指示が出せる。両機器ともスポティファイ(Spotify)等の楽曲再生、アラームやタイマーの設定、日常的な質問に対応している。両社とも、他社のサービスとの提携が増えれば性能は向上し、ソファに座ったままで出前などを注文できる、としている。
しかし、アイデアをどう実現するかの競争で、グーグルの優位は圧倒的だ。グーグルは音声アシスタントのテクノロジーを長年研究しており、アマゾンをはるかに上回る額を機械学習分野に投資している。
現段階の評価でも、グーグルの優勢は明白だ。音声アシスタント「アレクサ」を搭載したエコーとグーグル・ホームの比較では、グーグル・ホームは言語理解や質問への応対が極めて優れているという。
ニューヨーク・タイムズ紙の批評家は、グーグル・ホームの方が驚くほど賢いという。ザ・バージの記事は「グーグル・ホームは、エコーに欠けている、世の中に関する豊富な知識、ユーザーの個人的な嗜好や癖の対応機能を備えている」とまとめている。
とはいえ、スマートスピーカーが世界中で受け入れられる便利グッズや相棒になるという説をグーグルが証明したわけではない。
エコーと同様、グーグル・ホームは楽曲再生など、限られたことしか上手にこなせない。グーグル・ホームは、他の装置やサービスにはまだ対応していないのだ。さらにエコーと同様、グーグル・ホームに登録できるのは単独のグーグルアカウントだけで、複数の声の違いは識別できないし、ユーザーの質問に答えるときに使われるのはグーグル内のデータだけだ。
グーグルは、自社のデジタルアシスタントをモバイル検索機能の先駆け的存在にしたいと考えており、機械学習に投資し、先述の欠点を解決しようとしている。アマゾンも機械学習の重要性を認識しており、機械学習の研究に投資している。アレクサにユーザーの感情を認識させる機能を搭載するといった特定のアイデアを検討している。
両社の競争は(アップルも参入する可能性がある)、バーチャルアシスタント分野に欠かせない進歩を実現するだろう。バーチャルアシスタント分野が大きく進展したのはSiriが2009年に誕生して以降のことだが、コンピューターの主要インターフェイスになるには、まだまだ多くの機能や適応能力が欠かせない。
(関連記事:“10 Breakthrough Technologies 2016: Conversational Interfaces,” “Amazon Working to Make Alexa Recognize Your Emotions,” “Assistant Could End Up Eating Google’s Lunch,”)
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- MIT Technology Reviewのサンフランシスコ支局長。アルゴリズムやインターネット、人間とコンピューターのインタラクションまで、ポテトチップスを頬ばりながら楽しんでいます。主に取材するのはシリコンバレー発の新しい考え方で、巨大なテック企業でもスタートアップでも大学の研究でも、どこで生まれたかは関係ありません。イギリスの小さな古い町生まれで、ケンブリッジ大学を卒業後、インペリアルカレッジロンドンを経て、ニュー・サイエンティスト誌でテクノロジーニュースの執筆と編集に5年間関わたった後、アメリカの西海岸にたどり着きました。