個人のゲノムのシークエンシング(塩基配列決定)費用が安くなり、遺伝情報の解析がより高速、安価にできる、高い計算能力のコンピューターが求められている。英国のスタートアップ企業オプタルシス(Optalysys)の創業者ニコラス・ニューCEOは、レーザー光線でデータを解析する同社製プロセッサーで、需要の一部を満たそうとしている。
ニューCEOによると、オプタルシスはデータを処理する独自の手法で、ゲノム科学や気象シミュレーションといった、アプリケーションで計算量がもっとも多い処理を引き受け、従来のコンピューターの性能を劇的に向上できるという。「単調でつまらない仕事は、光学的に処理できます」とニューCEOはいう。
研究者は電子工学ではなく光学を利用してデータを処理するアイデアに長く取り組んできたが、産業界からの引き合いはほぼなかった。しかし、インテルのようなメーカーが、従来の半導体の性能をかつてのペースでは向上できないと認めたことで(“Moore’s Law Is Dead. Now What?”参照)、光コンピューターの出番になった、とニューCEOはいう。
オプタルシスのテクノロジーは、たとえば遺伝子配列のようなデータをレーザー光線に符号化することで、フーリエ変換という数学関数を実行する。データは互いの光線の干渉によって光波を作り、光物性を利用して演算処理し、結果を符号化してパターンを生成する。パターンはカメラセンサーによって読み取られ、従来のコンピューターの電子回 …