KADOKAWA Technology Review
×
MITTRが選ぶ35歳未満のイノベーター「IU35 2024 Japan」発表!
11/20授賞式開催決定
「人間の知識にとらわれないAIを」アルファ・ゼロ開発者に聞く
Geordie Wood
ニュース Insider Online限定
How AlphaZero has rewritten the rules of gameplay on its own

「人間の知識にとらわれないAIを」アルファ・ゼロ開発者に聞く

強化学習に基づく人工知能(AI)システム「アルファ・ゼロ」は、自分ひとりで囲碁やチェスを習得して、人間をあっと言わせるような一手を打つ。アルファ・ゼロの開発者であるデビッド・シルバー博士に話を聞いた。 by Will Knight2019.02.27

ディープマインドのデビッド・シルバー博士は、自分以上に独創的かもしれないものを発明した。

シルバー博士は、囲碁の仕方を学んだコンピューター「アルファ碁(AlphaGo)」の開発を主導した研究者だ。囲碁は、ゲームのルールに通じることよりもむしろ人間の直感で戦う複雑なゲームとして知られている。アルファ碁は、碁の打ち方を人間相手に研究した。

シルバー博士の最新の創作物である「アルファ・ゼロ(AlphaZero)」は、囲碁やチェス、将棋といったボードゲームを、自分自身を相手としながら練習を積んで学習する。何百万回という練習を通して、人間が千年かけてようやく考え出すような戦略を見つけ出すのだ。

では、いつか人工知能(AI)は、人間の頭脳では絶対に解決できないような問題を解決してしまうのだろうか? 現在、アルファベット(グーグル)の傘下にあるディープマインドのロンドンオフィスで、シルバー博士に話を聞いた。

——世界最強レベルの棋士との囲碁対局でアルファ碁は、観戦者たちが最初は間違いではないかと思うような目覚ましい一手を打ちました。あの瞬間、アルファ碁は「クリエイティブ」だったのでしょうか?

「37手目」として知られるようになったあの一手は、囲碁界の人々やアルファ碁を開発した私たち自身をはじめ、あらゆる人々を驚かせました。あれは通常の囲碁の戦法を逸脱したものであり、人間が何千年もかけて編み出したかのような戦法でした。私に言わせれば、この戦はクリエイティブな状態の一例です。

——人間から学ばないアルファ・ゼロは、 より一層クリエイティブなのでしょうか?

自分ひとりで何かを習得するのは、自分自身の知識をゼロから構築していくことであり、それこそ「創造 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. The winners of Innovators under 35 Japan 2024 have been announced MITTRが選ぶ、 日本発U35イノベーター 2024年版
  2. Kids are learning how to make their own little language models 作って学ぶ生成AIモデルの仕組み、MITが子ども向け新アプリ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る