保険会社にとって、データは用心深い人以上に重要だ。しかし、ある保険会社が、フェイスブックのユーザーの行動から与信情報を得ようとして、データアクセスを制限された。
フィナンシャル・タイムズ紙の報道によると、英国に本社を置く保険会社アドミラルが今週発売予定だった新商品「ファーストカークオート(Firstcarquote)」では、自動車保険を初めて購入する予定の顧客が、自身のフェイスブックの行動からリスクの可能性を判定されるプログラムを選べるようになっていた。保険料は、リスクの度合いによって割引(割増しはない)されるはずだった。
アドミラルの計画では、「いいね!」や投稿内容から、誠実さに関わると実証済みの人の特徴が判断される。たとえば丁寧な文章や言葉遣いの人は、几帳面な性格と結びつけられて割引対象になり、ビックリマークや驚きを表す言葉遣いの人は自信過剰と受け取られ、割引対象にならない。
当然だが、商品のコンセプトはほとんど受け入れられず、プライバシー擁護派は呆れた。ガーディアン紙によれば、アドミラルのアプリは、ユーザーがアプリの使用を希望しても、フェイスブックのデータ収集が規制された状態だ。フェイスブックの広報担当はガーディアン紙に「当社の明確なガイドラインとして、ユーザーの保険契約の適正判断のために、フェイスブックで得られる情報の利用を防ぐべきだと考えています」と語った。
フェイスブックの判断は妥当だ。言語的にユーザーの投稿を分析して、その人の運転がどの程度安全か正確に判定できるとは考えにくい。
しかし、保険会社がデータを収集し、価格の適用方針を微調整する発想は、今後も続きそうだ。最近の記事で取り上げたとおり、保険会社の新たな動向として、スマートホームテクノロジー搭載の家に奨励金を出し、家の中で何が起こるのか調べようとしている。また、自動車保険会社はドライブレコーダーを活用して運転習慣のデータを何年にもわたって収集している。
プライバシーが妨げられるとはいえ、こういった取り組みにより、保険会社は少なくとも自らの事業に直接関係のあるデータを収集し始めている。もちろんフェイスブックは、ユーザーのデータを第三者には使ってほしくないはずだ。
(関連記事:Financial Times, Guardian, “Why Insurance Companies Want to Subsidize Your Smart Home”)