毎年生産される農産物全体の3分の1は食卓に上ることがない。食べられずに廃棄される農作物は、ゴミ全体のうち約13億トンを占め、金額にしておよそ1兆ドルに相当する。
その主な理由の1つは、食べごろを過ぎたように見える果物や野菜を人々は捨ててしまいがちだということだ。カリフォルニア州に本社を置くアピール・サイエンシズ(Apeel Sciences)は、この問題を解決できると考えている。食用で無香料のコーティング剤を使うことで、果物や野菜の食べごろの期間を通常の2〜3倍に引き延ばせるという。
同社の薄いコーティングは、果物や野菜の繊維、皮、種から作られている。それらの原材料を粉末状にして水に溶かしたものを、スプレーしたり、浸したり、刷毛で農産物に塗って乾かす。この「セカンドスキン」は障壁の役割を果たし、食品が腐る主な原因となる水分の蒸発や空気への曝露を防ぐのだ。通常1カ月間鮮度を保つレモンは、アピールのコーティング剤を用いると2カ月以上鮮度を保てる。コーティング …