老化細胞を殺すアンチエイジング薬「セノリティクス」が初試験
体内から老化した有毒な細胞を除去する効果があるとされるセノリティクス薬を人間に投与する初の試験が、14人の肺疾患患者を対象に実施された。試験では重大な副作用は確認されておらず、今後、より大規模な治験へと移行するための足掛かりが得られたとしている。 by Karen Weintraub2019.03.06
最新のアンチエイジング療法の初の試験が今年に入って、何事もなく終了した。同試験では、14人のボランティアが、体内の老化した有毒な細胞を死滅させる薬を摂取した。
肺疾患患者を対象に実施したこの小規模な研究は、1月に報告された。「セノリティクス(senolytics)」、つまり、老化した有毒な細胞を体内から取り除く薬を用いる治療を実施した初の試みとされている。老化を遅らせる目的で、いずれは健康な人にもこの治療法が使えるかもしれないと考えている研究者もいる。
「最初の試験が無事に終了したことで、より大規模な治験に移るための足がかりをある程度得られました」とメイヨー・クリニックのジェームズ・カークランド医師は述べる。カークランド医師は、テキサス州の診療所とウェイクフォレスト大学が2016年に開始した今回の試験を率いた人物だ。
臨床試験に参加した患者は、白血病薬のダサチニブと、ケルセチンというサプリメントの2種類の錠剤を服用した。カークランド医師らは、この2種類の錠剤により、老化細胞を選択的に除去できる可能性があると考えている。
老化を遅らせるための薬は現在開発の黎明期にある。研究者の中には、この初の試みとなる試験で、薬による重大な副作用が確認されなかったことに安堵した人もいた。「あまり急いで次の段階に移るべきではないと懸念しています。何か間違いがあった場合や理解できない点がある場合、この分野の研究を後退させてしまう可能性があるからです」とカリフォルニア州ノバトにあるバック老化研究所(Buck Institute for Research on Aging)のジュディス・キャンピシ教授は述べる。
今回の試験は予備的なものであり、米国食品医薬局(FDA)の承認を得るのに必要な3段階にわたる治験の第1フェーズですらない。つまり、正式には、この試験は老化について何も示したことにはならない。
今回の試験に参加した14人 …
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