世界初のコンピューターウイルスは、1980年代初期にアップルIIコンピューターに感染したクリーパー(Creeper)と呼ばれるプログラムであると一般に考えられている。クリーパーは1981年に15歳の高校生がいたずら目的で作ったものだった。それ以来、データの破壊や通信傍受を可能にする悪意のある活動やソフトウェアの類が現れるようになった。
通信傍受を防ぐ1つの方法は、データを守るために量子物理学の法則を利用することだ。実際に現在、通信傍受を防ぎ、ほぼ完全に安全な通信ができるようにする量子インターネットの試験や設計に多額の資金が投資がされている。
しかしこのことは、ある興味深い疑問へとつながる。悪意のある者は、どのように量子インターネットを攻撃してくるのだろうか。
この質問に対し、私たちを不安にさせるような1つの答えが、ワシントンD.C.にあるジョージ・ワシントン大学のニール・ジョンソン教授らの研究グループにより得られている。ジョンソン教授らは、量子テロリストがいかにして自らの正体を隠したまま、ほぼ即座に量子インターネットを攻撃できるかを明らかにした。さらに心配なのは、この種の新しい攻撃に対処するための確実な方法が存在しないということだ。
ジョンソン教授の研究チームは、大量の光子もつれが共存できるネットワークである量子インターネットの数学モデルを作ることから研究を始めた。ジョンソン教授らは量子インターネットのことを、光子もつれが作る量子の雲のようなものだと考えている。そこでは人々が量子情報を持つ各自の光子を注入してやり取りをしている。このようなシステムの重要な特徴は、完全な …