ボイジャー2号が昨年、180億キロメートルを超える旅の末、ついに星間空間に突入した。この歴史的ミッションは、何十年にも渡って宇宙船の動力を供給し続けた原子力のおかげで可能になったのだ。
ボイジャー1号、2号のような宇宙船は、放射性同位体熱電気転換器(RTG:Radioisotope Thermoelectric Generator、原子力電池の一種)で動力を供給している。これらのエンジンは放射性物質が崩壊する際に熱を放射することで駆動する。プルトニウム238 (P-238)が崩壊する際に発生する熱を電気に変換することで、宇宙船は太陽光線が遥か彼方へと消えて去った後でも(太陽光発電なしで)運行を続けられるのだ。
しかしRTGには限界がある。宇宙船あるいは人間を、より遠くへ、より速く、何回も送ろうとすると、過去数十年と同じ原子力テクノロジーに頼ってばかりもいられないからだ。どうすれば可能性をさらに広げられるのか?
今、起こっていること
P-238が枯渇しつつある。打ち上げ当初に搭載されたP-238は、冷戦当時に兵器として使用するのに十分な品質のプルトニウム239を製造する際の副産物として米国で製造されたものだ。宇宙探索を継続する上で、米国航空宇宙局(NASA)は(当時より)遥かに多くのP-238を必要としているのだ。
2012年、オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Lab)がP-238製造の役目を引き受けた。数グラムを作るのでさえ、時間のかかる手作業だった。 しかし2019年1月にオークリッジの研究者は、P-238の製造に必要なネプツニウムとアルミニウムのペレットの製造を自動化し、増産する方法をついに開発したと発表した。ペレットを圧縮してアルミ缶内に封入し、原子炉内で放射線照射することで、ペレットが貴重なP-238に変化するという。
このペレットを製造するのが工程上の最大の難関であった。人手を排除するには多くの実験が必要だった。「原子力関係の研究の多くは、地道な試行錯誤の …