マイクロソフトはアップルから革新者のポジションを奪えるか?
ビジネス・インパクト

Microsoft Is Looking Like the New Apple マイクロソフトはアップルから革新者のポジションを奪えるか?

先週開催された2つのイベントで明らかになったのは、一方は前進し、もう一方は立ち往生していることだ。 by Jamie Condliffe2016.10.31

先週、巨大テック企業の1社は革新者のように振る舞った。新発表のハードウェアは先進的で美しく、メディアの専門職の仕事をより効率的にするだろう。もう1社は既存のコンピューターにボタンを1列追加した。以前ならアップルが革新者だったが、少なくとも当面は、その役割はマイクロソフトに移ったのだ。

マイクロソフトは26日にニューヨークで開催されたイベントで、光沢のある未来的な28インチのオールインワン型パソコン「サーフェイス・スタジオ」を発表した。デジタルな製図台のような形態に変形し、約20度に傾ければ、専用のタッチペンと「サーフェイス・ダイヤル」(小さなホッケーのパックのような形をした物理的な装置で、タッチスクリーンに置いてダイヤルを回すと、調整された分量が画面に表示される)で操作できる。

マイクロソフトは他にも芸術作品を3Dで制作するための新しいツールを発表した。ユーザーが同社製HoloLensで制作した3D作品を視聴することを想定している。ツールをVRゴーグルの普及に協力する一環として位置づけているなら、他のVRゴーグルでも使えるかもしれない。マイクロソフトは、HP、デル、レノボ、エイスース、エイサーと共同でVRゴーグルを製品化しようとしており、各社は近日中にVRゴーグルを300ドル程度の価格帯で発売するはずだ。

マイクロソフトのサーフェイス・スタジオはデスクトップ・コンピューターと未来的な製図台の中間のようだ

一方、アップルは27日に最新のハードウェアをお披露目した。ノートPCのMacBook Proの最新版だ。

これには、(おっと、ドラムロール!)♪パンパカパーン なんと、新しいボタンが1列装備されました!

確かに、とてもスマートなボタンだと認めよう。スリムな2つ目のスクリーンは使用中のプログラムによって表示が変わる。また、アップルの指紋センサー「タッチID」も兼ねているから、ログインや決済等、セキュリティが必要な操作もできる。

この2つが、2日連続のイベントで巨大テック企業2社が発表に選んだ宝物のようなハードウェアだ。確かに、マイクロソフトの新製品には多くの批判がある。コンセプトを理解できるユーザーは少なく、間違いなくニッチ製品であり、価格は3000ドル(日本国内の発売、価格未定)で涙が出るほどだ。しかし、アップルの新製品が価格面で賢い選択とはいえない。15インチのノートブックMacBook Proは2400ドル以上(日本国内では23万8800円から)する。

価格よりもずっと重要なのは、マイクロソフトとアップルがしようとしていることが、今回の発表会で伝わってくることだ。マイクロソフトは現在コンピューティングの外観的な形態の限界を広げようとしている。デスクトップ型パソコンの操作方法を変化させようとしたり、ユーザーがよりバーチャル世界に関われるようなツールを提供したりしている。

一方で、アップルはマンネリ化しているように見える。以前にMIT Technology Reviewが説明したように、アップルは既存製品のずっと先を見据えようと必死になっているようだ。にもかかわらず、アップルはユーザーとテクノロジーの関係を改革せず、既に成功を収めた機器に新しい機能を単に追加した。

マイクロソフトが成功するとはいわない。マイクロソフトの新製品はクリエイティブな専門職を真正面から狙っているが、こうしたユーザーは一般的にアップル製品を購入するから、アップルからマイクロソフトに引き込むのは困難な戦いになるだろう。しかし、現状のままでは、既存の型にはまらない製品から挑戦を受けるだけだ。iPadがいい例だ。発表当初、iPadは少数派向けの製品にとどまると多くの人が考えていた。

アップルの立場になってみれば、ノートPCの価値を大きく削いだiPadの存在は見ないことにしているのかもしれない。

(関連記事:Wired, Gizmodo, “Intel and Microsoft Are Teaming Up to Make Virtual Reality Ubiquitous,” “Why Apple Can’t Match the iPhone’s Success”)