人工知能で空港の保安検査がスムーズになるかもしれない
硬貨はポケットに入れたままでいい。スキャナーが硬貨を認識し、銃でなく小銭だと判定してくれる。 by Jamie Condliffe2016.10.28
空港でもっともイライラするのは保安検査で金属探知機のゲートをくぐることだ。だが、スタートアップ企業のエボルブ・テクノロジーはAI搭載の新型探知機の公開試験を始める予定で、エボルブによれば、新型探知機によって搭乗前にもたついたりポケットの中身を空にしたりする必要がなくなり、気楽に金属探知機を通り抜けられるようになる。
ガーディアン紙の報道によると、開発中のエボルブ製探知機は、既存の(プライバシー問題が議論される)全身スキャナーと同じく、ミリ波で画像を生成する。だが、円筒状のブース内に人をじっと立たせるのではなく、エボルブの探知機は歩いている人の頭から足元にかけて照射したレーダー波を解析し、反射した波がどのように散らばるかを測定する。
データは、空港警備員が通常確認している画像を生成するためには使われない。代わりに、データは機械学習アルゴリズム(爆発物や凶器のような危険物の見分け方を学習している)によって処理される。もしシステムが「何か」を見分けたと判定すると、より入念な検査をするように空港警備員に警告を与える。
エボルブの主張によれば、保存されたデータは、後から個人を特定できない。エボルブはまた、この探知機は扱いの難しいヌード画像問題に対応する必要は決してないという。ヌード問題はこれまで全身スキャナーに反対する人が怒りを感じる原因だ。
探知機はデンバー国際空港をはじめ、ワシントンD.C.やロサンゼルスの鉄道駅でも試験的に設置される。エボルブは、新型探知機は1時間に800人をスキャンできるとしているが、設置場所によっては試験で想定外の事態が発生する可能性が高く、初めのうち、人工知能は混乱するだろう。人の列はそうすぐには解消されないかもしれない。
(関連記事:The Guardian, “How to Find Hidden Explosives at Airports,” “Next Big Test for AI: Making Sense of the World”)
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クレジット | Photograph by Robyn Beck | Getty; Rendering courtesy of Evolv Technology |
- ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。