現在利用されている市街地図は、無人運転乗用車の走行にはあまり役立たない。大半の道路は地図化されているものの、数年に1度しか更新されないからだ。それに、一般的な地図には道路標識のような道路沿いのインフラや私道、路面標示などが一切書き込まれていない。こうした追加情報が無くては、自律自動車が都市を安全に走行するのはより一層難しいものになる。ロボット配達も同様で、いずれは道路の表面、歩道、障害物といった精度の高い詳細情報が必要になるだろう。
スウェーデンのスタートアップ企業であるマピラリー(Mapillary)は、その答えを見つけたようだ。マピラリーが開発したのは、人々がスマートフォンで撮影した市街地の画像を利用するクラウドソーシング型のオープンプラットフォーム。地図製作のウィキペディアとも言えるものだ。同社によると、一般に利用可能な市街地レベルの画像データベースとして、現在このプラットフォームは世界最大級だという。
「無人運転乗用車には道路の最新の景観が必要です」とマピラリーのヤン・エリック・ソレムCEO(最高経営責任者)は語る。「無人運転乗用車を走行させるには、もっと高い頻度で地図を更新し、四半期ごと、1カ月に1回、1週間に1回、毎日と、周期を短くしていく必要があります。これをスケーラブルな形で実現するには、テクノロジーを利用する以外にありません」。
地図データを収集する方法は多数あり、この分野におけるスタートアップの間に競争が生まれている。マピラリーによると、同社のプラットフォームが他と違うのはクラウドソーシング型である点だという。グーグルの専有物で更新は数年に1回となっているストリートビューなどとは違うの …