トラック業界に襲いかかるウーバー流変動料金
控えめなウーバーの運賃の発表で、ライドシェアリングの巨人が18ホイーラーを使った巨大産業の破壊を狙う。 by Michael Reilly2016.10.27
最近、ウーバー関連のニュースが毎日ある。10月26日のニュースは恐らく、多くの人にとって、ウーバーが自動運転トラック企業のオットーを買収して以来、影響がある。ビジネスインサイダーのレポートによると、ウーバーは、これまでアプリでタクシーの乗客とドライバーをつないだ自社の手法とよく似た形で、荷主とトラック運送会社をつなげるサービスの料金をあまり派手でない形で発表した。
ウーバーのトラビス・カラニックCEOは以前から、トラック輸送に参入する意図を明確に示してきた。参入は理にかなっている。米国のトラック業界では通常、仲介人が荷物を送りたい誰かに、運び役のトラックを探して引き合わせている。ウーバーは、ほとんどこれと同じビジネスモデルで世界的大企業にまで成長した。つまり車を探している誰かと契約したドライバーの仲介役を演じてきたのだ(若干いかがわしいビジネス手法と創造性豊かなマーケティング戦略が用いられたがどちらも誰かを傷つけたわけではない)。
現在もウーバーは驚くべき速さで動き続けている。オットーは自動運転トラックで初の配送をしたばかりで、誰が見ても設立し立ての企業にすぎない。一方で米国内のトラック輸送は巨大だ。2014年には1100万台の大型トラックが約4490億kmを走行した。
おそらく自動運転トラックが大量に道路を走るまでにはまだ時間がかかるだろう。ウーバーの自動運転トラック輸送サービスの運賃は試験期間中、来年初めに正式サービスが提供されるまでは請求されないだろう。ウーバーは、オットーのトラックの準備が整うにしたがって、徐々に置き換わっていくのがよいとしている。それまではウーバーの運賃の主な役目は「相場の目安」であり、ウーバーの新たなサービスが、保守的で非効率だと同社が指摘してきたトラック業界の相場にダイナミックな変化をもたらす可能性がある。
言い換えれば、もし仕事で物流をトラックに頼んでいるなら、今後は料金の変動に見舞われるかもしれない、ということだ。
(関連記事:Business Insider, “My Self-Driving Uber Needed Human Help,” “Otto’s Self-Driving 18-Wheeler Has Made Its First Delivery”)
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- マイケル レイリー [Michael Reilly]米国版 ニュース・解説担当級上級編集者
- マイケル・レイリーはニュースと解説担当の上級編集者です。ニュースに何かがあれば、おそらくそのニュースについて何か言いたいことがあります。また、MIT Technology Review(米国版)のメイン・ニュースレターであるザ・ダウンロードを作りました(ぜひ購読してください)。 MIT Technology Reviewに参加する以前は、ニューサイエンティスト誌のボストン支局長でした。科学やテクノロジーのあらゆる話題について書いてきましたので、得意分野を聞かれると困ります(元地質学者なので、火山の話は大好きです)。