アレクサやSiriに続く音声認識技術は、驚くほど口が上手いかもしれない。
ピッツバーグ(ペンシルベニア州)で開催されたテック系カンファレンスで、優れた説得力のあるチャットボットの初期バージョンが展示された。「サラ」というボットは、ちょっとしたやりとりと冗談を交わしたあと、カンファレンスに来場した数人と会うように勧めてくれた。その勧めは本当に上手で、その人たちには会ったことはなかったが、サラの勧めに従ってみることにした。
サラはカーネギーメロン大学で人間とコンピューターの交流に関する研究のディレクターを務めるジャスティン・カッセル副学科長が開発したチャットボットだ。カッセル副学科長の研究はバーチャル・エージェントが会話中のちょっとしたしぐさから話し相手との信頼関係を築き、情報を伝えたり、より効率的に何かをしたりするように説得する方法を研究している。
この研究は、より便利なチャットボットが実現する可能性を示している。ほとんどのボットはいまだにぎこちなく、すぐに会話がぎくしゃくしてくる。そもそも、より深い言語理解に至るにはまだ長い時間がかかるだろう。しかし、会話中のしぐさを使えば、こうしたツールの会話がぎくしゃくしてくるのを減らし、より効率的にできる。すでにこの手法を自社のバーチャル・ヘルパーの改善に使おうとする大企業もあるようだ。
確かにサラとの会話はよくあるチャットボットに話しかけるよりもイライラが少ない。システムが会話を通じて話し相手が使う語彙を学習し、話し手の声のトーンまで読み取る。また、複数のカメラで話し手の顔の表情や頭の動きも学習する。ちょっとしたしぐさをもとに、プログラムが話し相手の信頼関係を築くために選んだ適切な答えを決めるのだ。たとえばサラは、笑顔でうなずくのを見ると、すぐに謙遜した返事を返してきた。
「世間話を使うチャットボットはいろいろありますが、どれも使い方がデタラメで、便利とはいえません。実際の人間は、何かの目的があって、世間話をするのです」(カッセ …