2015年の二酸化炭素濃度、世界平均で初の400ppm超え
最新の報告書によると、二酸化炭素濃度は400ppmを超え、何世代にもわたって元には戻らない見込みだという。 by Jamie Condliffe2016.10.26
2015年の大気中の二酸化炭素濃度に関する公式見解だ。いいニュースではない。
世界気象機関(WMO)の温室効果ガス年報によると、二酸化炭素の世界平均濃度が、2015年に初めて400ppmに達した。地球のCO2濃度が急上昇して一線を超えた理由のひとつは、エルニーニョ現象により「森林、植生、海などの二酸化炭素を吸収する『汚水だめ(シンク)』の機能が低下したからだ」とWMOはいう。
しかし「シンク」がCO2の吸収能力を取り戻しても、二酸化炭素の排出はやはり削減する必要がある、とWMOのペッテリ・ターラス事務局長は警告する。「エルニーニョ現象が消えても、気候変動は消えません」とターラス事務局長は説明した。
「CO2排出の問題に取り組まない限り、気候変動の問題は解決できませんし、気温上昇を産業革命前と比べて2度未満にも抑えられません」

400ppmという値は概して象徴的だ。二酸化炭素濃度だけで、気候変動の主な懸案事項である地球温暖化が決まるわけではない。しかし実際にCO2は主要な原因であり、一線を超えたことは、環境保護論者にも政治家にも心理的に重要だ。
残念ながら、最近のCO2濃度に関する悪いニュースは今回が最初ではない。9月は通常、濃度が最低レベルになるが、実際には400ppm未満まで下がらなかった。最新の報告書が引用する、マウナロア観測所(ハワイ)の温室効果ガスの測定結果によると、濃度は今年中は400ppm以上にとどまる見込みという。
実際、WMOの予測では、CO2濃度は今のところ「何世代にもわたって」400ppm未満には下がらないという。
「2015年はパリ協定で、気候変動に対して楽観主義と方策実行の新時代を切り開きました。しかし同時に、温室効果ガス濃度の最高値を記録して、気候変動の現実という新時代を歴史に刻んでしまいました」(ターラス事務局長)
少なくともパリ協定はようやく実行に向け舵を切ったが、決して早すぎるタイミングではないのだ。
(関連記事:WMO Greenhouse Gas Bulletin, “The Paris Climate Pact Is Officially Go”)
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- ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。