2017年、ブロックチェーン・テクノロジーは「世界の金融システムを破壊する」と言われほどの一大革命であった。だが2018年、それは期待外れに終わった。そして2019年、ブロックチェーンはしごく当たり前のものになっていくだろう。
暗号通貨の中には2017年後半のピーク時から90%以上価値が低下しているものもあるが、暗号通貨の基礎となるブロックチェーン・テクノロジーは依然として健在だ。ブロックチェーンは多くの人々にとってはまだまだ馴染みはないが、開発からすでに10年を経ており(その前身となるテクノロジーについてはさらに古い)、暗号通貨の世界は以前の大幅な価格下落から(パーセンテージ的に)復活を遂げている。2017年に大挙して参入してきた多くの開発者はいまも開発を続行中だ。革新的な香りのするプロジェクトが現在も進行中であり、まもなく結実しようとしている。また、複数の大手企業がブロックチェーンを利用した大掛かりなプロジェクトを2019年に開始する計画だ。
ブロックチェーン・テクノロジーが2019年、ごくあたりまえになってしまう理由を以下に3つ、紹介しよう。
ウォルマート、そしてウォール街が企てる一大計画
世界最大の小売業者であるウォルマートは、食のトレーサビリティに独自のブロックチェーン・システムをテストしてきた。2019年には本稼働に移行する予定で、葉物野菜の仕入先に対し、2019年9月までにシステムに参加するよう要請している。
一方、暗号通貨に関しては、ニューヨーク証券取引所のオーナーであり、ウォール街のもっとも有力な企業の1つあるインターコンチネンタル取引所(ICE:Intercontinental Exchange )が、1月から独自のデジタル資産取引所を立ち上げる計画だ。さらに投資信託の販売・運用会社であるフィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)が先日、フィデリティ・デジタル・アセット(Fidelity Digital Assets)という新会社を設立した。
フィデリティが主としてやろうとしているのは、暗号資産の管理代行業務だ。熱烈な暗号通貨支持者によると、ヘッジ・ファンドやファミリー・オフィス(資産家ファミリーの資産管理)、政府系ファンドといった大口投資家は何十億ドルという資金をデジタル資産に投入したくて仕方がないのにできずにいる。規制当局が認可したインフラが十分にないからだ。
米国を例にとると、大口の投資資金については、顧客の資産を銀行やその他金融機関における個別口座 …