KADOKAWA Technology Review
×
ハリポタもビックリ!人物が動き出す「魔法の写真」の作り方
Chung-Yi Weng | youtube
ニュース Insider Online限定
Machine vision can create Harry Potter–style photos for muggles

ハリポタもビックリ!人物が動き出す「魔法の写真」の作り方

ワシントン大学の研究チームが、静止画上の人物をアニメーション化して、写真から歩き出させることを可能にする手法を開発した。2次元の人物画像から3次元のポーズを判別するのは困難な問題とされているが、研究チームは2次元の切り抜きを歪ませる方法を開発することでそれを解決した。 by Emerging Technology from the arXiv2018.12.27

J・K・ローリングの書いたハリー・ポッターの物語には、魔法の写真が登場する。魔法の写真は、普通の写真と似ているが、写真の中の人物が動くという点で異なっている。写真の中の人物は手を振ったり笑ったりし、ときには別の用事でいなくなってしまうこともある。

魔法の写真はローリングの並外れた創造力から生まれた。しかし、シアトルにあるワシントン大学の大学院生であるチュン・イー・ウェンらのおかげで、もうすぐ「マグル(物語の中で、魔法を使えない普通の人間を指す言葉)」でも、魔法の写真に似たものを手に入れられようになるかもしれない。ウェンたちが開発した「フォト・ウェイクアップ(Photo Wake-Up)」というソフトウェアを使えば、他のものは動かさず、写真に写る中央の人物だけをアニメーションで動かすことができるのだ。

このタスクは「言うは易く行うは難し」である。コンピューター科学には未解決の重要な問題があるからだ。それは姿勢認識の問題だ。2次元の人の画像を与えられると、マシン・ビジョンは判断に困ってしまう。その人物がどのような3次元のポーズを取っているかが分からないのだ。

姿勢認識が難しいのは、体が部分的に隠れてしまうことがあるからだ。腕を組んで立っているときのように、他の体の部位によってある部位が覆われることがある。機械が2次元画像から3次元構造を把握することが難しいのはこのせいだ。

これまでコンピューター科学を研究するさまざまなチームがこの問題に挑んできた。ウェンたちが使ったのは、マイクロソフトとドイツのマックス・プランク知能システム研究所のチームが開発した「SMPL」というプログラムである。

姿勢認識の最初の作業は、人の体を2次元で切り抜き、その上に3次元の骨格を重ねることだ。そうすれば骨格を動かし、動作を作ること …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Who’s to blame for climate change? It’s surprisingly complicated. CO2排出「責任論」、単一指標では語れない複雑な現実
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る