電池のいらないデバイスが、 Wi-Fiやラジオ、テレビ局からの信号を再利用することで、通信、稼働できる方法を発明した(“10 Breakthrough Technologies 2016: Power from the Air”参照)ワシントン大学のシャム・ガラコタ助教授が画期的なIoTデバイスを作った。Wi-Fiでスマホと接続できるコンタクトレンズだ。
試作品は、ガラコタ助教授のテクノロジーが、およそどんなもコンタクトレンズにも、さらには使い捨てのコンタクトレンズにさえも、インターネットに接続できることを実証している。ガラコタ助教授は水曜日にEmTech MIT 2016カンファレンスのイベントで「この部屋に座っているとき、わたしたちに衝突している電波信号が非常にたくさんあるのです。このような信号から電力を回収し、反射を利用して信号を送れるのです」と説明した。
ガラコタ助教授と大学院生は、自分たちのテクノロジーの可能性を実証するために、Wi-Fi 接続できるコンタクトレンズをつくった。「WiFi後方拡散」テクノロジーは、安いセンサーでも、複雑なインプラントでも、医療機器の機能を向上できる。研究チームは、入院患者を見守るために、温度と呼吸を感知できる柔軟なスキンパッチもつくった。
もうひとつの試作品はコンサートポスター形式で、FM電波でバンド演奏を部分的に放送する。最近の実験では、Wi-Fiルーターの信号を再利用する後方拡散デバイスが、最大1km、または建物の3階まで接続できることを確認した。
後方拡散テクノロジーは、デバイスやモノがネット接続する顕著に安価な方法だ。バッテリー代を削減できるばかりか、この通信方式に必要な電気回路は、従来の無線ハードウェアよりもより単純で安価だ。
「目標は、数十億の使い捨てデバイスを通信可能にすることです」とガラコタ助教授はいう。
このテクノロジーの事業化を目指して、ガラコタ助教授はジーバ・ワイヤレス(Jeeva Wireless)を設立した。ありふれた医療機器に接続性を付加するスタートアップ企業として、大手製薬会社とすでに話し合っている、という。
ガラコタ助教授は、企業秘密に関わる ので、製品名や企業名を特定することを避けたが、この取引は、数十億デバイスという自分の目標へ向かっているという。
「もし上手くいけば、1年で数億デバイスになるでしょう」