ウーバーに最低賃金設定、ニューヨーク市の決定は何を意味するのか?
2018年にニューヨーク市は、全米で初めて、配車サービスのドライバーに最低賃金を設定する決定を下した。ウーバーのドライバーたちとともに約8000キロを移動したテクノロジー民族誌学者であるアレックス・ローゼンブラットに、今回の決定の意味することを聞いた。 by Erin Winick2019.01.17
2018年12月、ニューヨーク市は、市内のウーバーおよびリフトのドライバーを対象とした最低賃制度の導入を決定した。これは米国で配車サービスのドライバーに対して最低賃金が設定された初の事例となる。今回のニューヨーク市の決定が、世界中の配車サービスのドライバーたちにとってどんな意味を持つのか、テクノロジー民族誌学者であるアレックス・ローゼンブラットに話を聞いた。
書籍『Uberland ウーバーランド: アルゴリズムはいかに働き方を変えているか』(青土社刊)の著者であるローゼンブラットは、合計で約8000キロメートルの距離をウーバーのドライバーたちとともに移動し、テクノロジーがどのように仕事を変えようとしているのかを明らかにしようと試みた。ローゼンブラットはこのインタビューで、今回の法整備が意味するところや、ニューヨーク市がウーバーに対して持っている独自の力、アルゴリズムが上司になるとはどういうことかを語っている。
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——ニューヨーク市がウーバーのドライバーに対して最低賃金を定める決定を下したことに対してどう思いますか?ドライバーたちへの変化はあるのでしょうか?
ありますね。これはすばらしい前例になると思います。ドライバーに対してだけではありません。世界中の都市に対しても、配車サービス企業、より広く言えばテック企業にどう規制をかけていけばいいのかについて1つの例を示したと言えます。最低賃金の設定は重要ですが、ニューヨークは特殊な存在でもあります。多くの場合、ウーバーはタクシードライバーとウーバーのドライバーに適用される法律の隙間をうまく突いています。自分たちはテック企業であって、運輸企業ではないと主張しているのです。
——ニューヨークはウーバーのドライバーの数も多いからこそ、他の都市には持ち得ない力を持っているのでしょうか?
多くの都市は、そもそもウーバーのドライバーの数さえ把握していません。サンフランシスコはコンピューター科学者を雇い、バックドアを使ってドライバーの数を割り出さなければなりませんでした。シアトルは、ウーバーとリフトが配車サービスを提供して …
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