ファーウェイ(華為)のCFOであり、創業者の娘でもある孟晩舟(メン・ワンツォウ)がカナダで拘束されたことで、米中の緊張が一層高まっている。孟CFOの逮捕は米国の要求に基づくものだが、中国は人権侵害を主張しており、早急な釈放を求めている。
今回の大騒動の裏には、ファーウェイが国際的な安全保障に深刻な脅威をもたらすという恐怖を、西側の情報機関が長きにわたって抱いてきたという背景がある。情報機関は、主に以下の点について懸念を持っている。
ファーウェイは、携帯電話事業者が無線ネットワークの運用に使う基地局やアンテナの世界最大の製造メーカーである。携帯電話網では、送電網や金融市場、交通機関をはじめとする国家の中枢を担うインフラを制御するデータが送受信されている。中国の軍部および情報機関が、ファーウェイ製機器に対して、有事の際に外国の無線ネットワークの性能低下や無力化を招く「バックドア」を仕込むのではないか?と懸念されているのだ。そのため、米国は中国製機器の使用を禁止する方向に動いている。
2010年以降、英国は政府通信本部(GCHQ=情報機関)の関係者をメンバーに含む、特別機関を設けている。ファーウェイ製の機器が配備される前に厳密な検査を実施する専門機関だ。同機関は今年に入り、ファーウェイ製機器が安全保障上の脅威をもたらさないことについて、「限定的な保証しかできない」と警告した。報道によると、同機関はファーウェイのコードの一部がテスト時と実際のネットワーク上で異なる動きをしていることを発見しており、ファーウェイのソフトウェア・サプライヤーには厳格な管理を受けていない企業があると指摘している。
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