無規制に広がる「顔認識」
利便性の裏に潜む
監視・差別のリスク
急速に広がる顔認識テクノロジーには規制が必要だ——。ニューヨークの有力シンクタンク「AIナウ(AI Now)」が発表した新たな報告書はその問題点を指摘する。 by Will Knight2018.12.20
人工知能(AI)はここ数年で大きく進歩してきた。だが、この急速な発展によって今日、倫理的な難問に直面している。
中でもやっかいな問題は、機械学習が写真や映像に映った人の顔を高い精度で認識できることだ。顔認識技術によってスマートフォンのロックを笑顔でも解除できるようになった反面、政府や大企業は新たに強力な監視ツールを手に入れたのだ。
ニューヨークに拠点を置く有力シンクタンク「AI ナウ研究所(AI Now initiative)」がこのほど発表した新しい報告書(PDF)は、顔認識が現代社会や政策決定機関にとって重要な課題だと指摘している。
顔認識技術の成長スピードは、機械学習の一分野である深層学習の急速な発展によってもたらされた。深層学習は大規模で複雑な計算、大まかに言えば生物の脳の構造に似たものを利用して、データに含まれるパターンを認識する。深層学習のおかげで、今日では驚くほどの精度でパターン認識が実行できるようになったのだ。
深層学習の優れた能力は、たとえ画質の悪い写真や映像からでも、物体や個人の顔を確実に識別できる。そのため企業は、深層学習を使った顔認識技術を積極的に利用しているのだ。
プライバシーの問題に関する多くの議論がある中、AIナウ研究所の報告書は米国政府に対し、急速に発展する顔認識技術への規制状況を改善するための一般的な処置を求めている。「AIシステムの実装は、 …
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