2014年3月8日、マレーシア航空MH-370便(ボーイング777-200ER)が北京へ向かってマレーシアのクアラルンプールを離陸した。離陸後すぐ、370便のトランスポンダと通信システムの不可解なシャットダウンが発生し、同便との通信は途絶えた。
航空史上最高の捜索費用をかけて大規模な捜索が2回実施されたが、当初、墜落地点と考えられていたインド洋の僻地で機体を発見することはできなかった。実際には、遠く離れた様々な地域の海岸に、機体の様々な部品が漂着した。2017年1月、マレーシアと協力各国による捜索は中止された。新たな情報が出てきた場合に限り、捜索を再開するという。
デンマーク、オーフス大学工学部のマーティン・クリステンセン教授は2018年12月6日、消息を絶ったマレーシア航空370便に関する新しいデータ分析を発表した。同教授の分析結果では、これまでとはまったく異なるインド洋のクリスマス島沖が候補地として示されたという。
消息を絶ったマレーシア航空370便に関しては、詳細な情報が広く知られている。370便は通常通り離陸し、ベトナムへ向かう北西方向の航路を予定通り飛行していた。管制塔との最後の音声通信の後、370便は航路から外れて東へ旋回した。そして、マレーシアへ引き返し、マレーシアを越えてアンダマン海へ出た。この間、370便はマレーシア軍のレーダーで追跡できたが、その後、レーダーの測定域を外れた。
370便がレーダーから姿を消した後は、同便の機体に搭載された衛星データユニットと呼ばれる機器からのデータのみが受信された。この装置は何らかの理由で再起動された後、ログオン要求を送信していた。その後、地上局は1時間ごとに航空機の状態を問い合わせており、コックピットの乗員から応答はなかったが、装置はデジタル・ハンドシェイク通信で応答した。
このハンドシェイク通信の情報は、通信を絶った後の370便の飛行経路を導き出すのに非常に重要な役割を果たしてきた。ハンドシェイク通信の信号は、インド洋上空にあったインマルサットの静止通信衛星「インマルサット3 F1」を経由して地上局に中継されていたのだ。
370便からの信号送信時刻と、インマルサット3 F1による信号受信時刻のずれは、捜索チームにとって重要な手がかり …