耐量子暗号は量子コンピューターの開発速度に追いつけるのか?
従来の暗号技術は強力な量子コンピューターを使えば破られてしまう可能性が高い。専門家らは、強力な量子コンピューターの登場までの期間を10年と見積もる一方、「量子耐性」を持つ暗号技術の開発・普及には早くとも20年はかかると指摘する。 by Martin Giles2018.12.13
クレジットカードの取引から健康記録などの重要情報を保持するデータベースに至るまで、社会のさまざまなデータは暗号を使って保護されている。全米アカデミーズの新たな報告書によると、超強力な量子コンピューターが従来の暗号化によるデータ保護を破る時代の到来に備えて、私たちは準備の速度を速める必要があるという。
12月3日に公開された報告書をまとめた専門家らによると、量子コンピューターに対抗できる暗号を広く普及させるのは「長く困難な道のり」であり、「実現には20年以上を要するだろう」という。20年以内に非常に優れた性能を持つ量子機械が登場する可能性はある。もしハッカーたちがそうした機械を手に入れてしまえば、セキュリティとプライバシーにとって悪夢のような事態となる。
現在のサイバー防御は、従来型のもっとも強力なスーパーコンピューターをもってしても、データやコンピューターネットワーク、その他のデジタルシステムを保護している暗号化アルゴリズムを破るためには想像を絶する時間を要するという事実に強く依存している。だが量子ビット(キュービット)を扱えるコンピューターであれば、処理能力は指数関数的に高まり、現代の最高レベルの暗号も破れるようになる。
主な問題点
先ほどの報 …
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