不法移民を阻止するため、アメリカのメキシコの国境沿いにコンクリートの壁を建設する公約を掲げているドナルド・トランプ候補。壁の建設費用は8億~12億ドルだというが、その程度で済む可能性はまずなさそうだ。
現在メキシコとの国境に設置されているフェンスを見れば明らかだ。トランプ候補は当初、約3220kmの国境の端から端まで壁を建設するとしていたが、その後、山などの自然の防壁により不法移民の流入が防げるため、壁の建設は約半分の長さでいいだろうと発言した。トランプ候補が壁を建設するメキシコ国境沿いにはすでに約1050kmに渡ってフェンスが設置されている。場所ごとに起きやすい侵入手法に合わせ、車両による侵入を防止する設計だったり、徒歩での侵入を想定した設計になっていたりする。フェンスの設置には、2006年から現在までに23億ドルの費用がかかっている。
もしフェンスではなく壁を作るとすれば、それも本当に、トランプ候補が公約として掲げている高さ10~20mの鉄筋コンクリート製の壁を作るとすれば、費用は一気に跳ね上がる。全長約1600km、高さ約15mの壁を想像してみてほしい(15mは、想定する高さの幅としてトランプ候補が持ち出した10~20mの間をとった高さ)。さらに、壁は地下 …