本物のように見えるバーチャル環境を作るには時間とスキルが必要だ。 3Dシェイプや適切なライティング、質感をレンダリングするグラフィックス・チップを使い、手作業でディテールを作り込む必要がある。たとえば、最新の大ヒットビデオ・ゲームの「レッド・デッド・リデンプション2(Red Dead Redemption 2)」は、およそ1000人の開発者チームが、ときには 週に100時間もの作業時間を費やし、実際に世に出るまでには8年以上の歳月がかかった。だが、写真のようにリアルなディテールを臨機応変に創作できる強力な人工知能(AI)アルゴリズムの登場により、こうした大変な作業も近いうちに過去の話となる可能性がある。
チップメーカーのエヌビディア(Nvidia)が開発した新しいソフトウェアは、ソフトウェア開発を楽にするだけではない。実質現実(VR)の創作に必要なバーチャル環境の自動生成や、自動運転自動車、ロボットの教育などにも使えるものだ。
「まったく新しい下絵を制作し、それをレンダリングできます」とエヌビディア応用深層学習部門のブライアン・カタンザロ副社長はいう。「実際のビデオに基づいて描写する方法をモデルに教えるのです」。
エヌビディアの研究者グループはまず、標準的な機械学習手法を使い、車や木、建物など、映像のシーンのさま …