今年の米国大統領選挙は本当に馬鹿げている。支離滅裂で怒りに任せた発言を吐き出すアルゴリズムは、立候補中の最悪の候補者ですらない。
ディープ・ドランプ(トランプ候補の祖先がドランプ氏で、ドイツ語の”Drumpf “を”Trump”に改姓した)という単なるアルゴリズムが、まさに選挙戦に参加した。深層学習で作られたアルゴリズムに ドナルド・トランプ候補の演説を大量に読み込ませたところ、トランプ候補自身が発信した数多くのツイートと非常によく似たツイートを自動的に生成した。
たとえば、この最近の反論の答弁を取り上げてみよう:
Free trade can be wonderful if you have the power of nuclear weapons.
— DeepDrumpf (@DeepDrumpf) March 30, 2016
核兵器を保有しているなら、自由貿易は素晴らしい
あるいは、国家安全保障に関するこれはどうだろう:
How stupid are these politicians? They're killing us but you don't hear that from anyone. We need a leader that can start a war. @guypbenson
— DeepDrumpf (@DeepDrumpf) June 24, 2016
この政治家たちはどれだけ馬鹿なんだ? 彼らは我々を殺しているのに、諸君は誰からもそれを聞かされていない。我々には戦争を始められる指導者が必要だ。
もちろん、アルゴリズムは実際に大統領にはなれない。しかし、最初にディープ・ドランプを3月に開発したマサチューセッツ工科大学(MIT)のロボット工学の専門家、ブラッドリー・ヘイズ研究員は、選挙で最近、女性の待遇が話題になっているのを知り、科学、テクノロジー、工学、数学(米国では頭文字をとって「STEM」と総称される分野)での性差を埋めることを目的とする無党派組織「GirlsWhoCode」への嘘の募金キャンペーンを立ち上げた。
トランプ候補について考える(あるいはヒラリー・クリントンでも)ことは、取り上げるべき重大な理由になる。なぜならテクノロジー全体には多様性が欠如しているからだ。
ヘイズ研究員は「選挙のたびに繰り返される馬鹿馬鹿しさを際立たせるため」仕事の合間にディープ・ドランプを開発した。完成したボットは、本物の共和党大統領候補のツイートのスタイルと内容の最高の物まねになっている。
ボットは、人工知能の観点からも興味深い。一般的に、アルゴリズムにとって、自然な文法解析と言語の生成はとても難しい。しかし、ヘイズ研究員は、トランプ候補の喋り方は非常に文のつながりが悪く、不器用なため、アルゴリズム的なパロディー処理がとてもしやすいのだ、という。「トランプ候補は自分自身で頻繁に話の腰を折るし、非常によく脱線します。実際、私のようにトランプ候補のしゃべり方をモデル化しようとする人間にとって、信じられないほど都合がよいのです」
(関連ページ: DeepDrumpf 2016, “10 Breakthrough Technologies: Deep Learning,” “AI’s Language Problem”)