KADOKAWA Technology Review
×
【3/14東京開催】若手研究者のキャリアを語り合う無料イベント 参加者募集中
Why I’m Backing Deep Drumpf, And You Should Too

米国のエリート層は、トランプ候補がとことん嫌いなのだ

科学技術における女性への募金によって、このとてつもないアルゴリズムは、あなたの頭をくらくらさせるほどアメリカを偉大にするだろう。信じて欲しい。 by Will Knight2016.10.18

今年の米国大統領選挙は本当に馬鹿げている。支離滅裂で怒りに任せた発言を吐き出すアルゴリズムは、立候補中の最悪の候補者ですらない。

ディープ・ドランプ(トランプ候補の祖先がドランプ氏で、ドイツ語の”Drumpf “を”Trump”に改姓した)という単なるアルゴリズムが、まさに選挙戦に参加した。深層学習で作られたアルゴリズムに ドナルド・トランプ候補の演説を大量に読み込ませたところ、トランプ候補自身が発信した数多くのツイートと非常によく似たツイートを自動的に生成した。

たとえば、この最近の反論の答弁を取り上げてみよう:

核兵器を保有しているなら、自由貿易は素晴らしい

あるいは、国家安全保障に関するこれはどうだろう:

この政治家たちはどれだけ馬鹿なんだ? 彼らは我々を殺しているのに、諸君は誰からもそれを聞かされていない。我々には戦争を始められる指導者が必要だ。

もちろん、アルゴリズムは実際に大統領にはなれない。しかし、最初にディープ・ドランプを3月に開発したマサチューセッツ工科大学(MIT)のロボット工学の専門家、ブラッドリー・ヘイズ研究員は、選挙で最近、女性の待遇が話題になっているのを知り、科学、テクノロジー、工学、数学(米国では頭文字をとって「STEM」と総称される分野)での性差を埋めることを目的とする無党派組織「GirlsWhoCode」への嘘の募金キャンペーンを立ち上げた。

トランプ候補について考える(あるいはヒラリー・クリントンでも)ことは、取り上げるべき重大な理由になる。なぜならテクノロジー全体には多様性が欠如しているからだ。

ヘイズ研究員は「選挙のたびに繰り返される馬鹿馬鹿しさを際立たせるため」仕事の合間にディープ・ドランプを開発した。完成したボットは、本物の共和党大統領候補のツイートのスタイルと内容の最高の物まねになっている。

ボットは、人工知能の観点からも興味深い。一般的に、アルゴリズムにとって、自然な文法解析と言語の生成はとても難しい。しかし、ヘイズ研究員は、トランプ候補の喋り方は非常に文のつながりが悪く、不器用なため、アルゴリズム的なパロディー処理がとてもしやすいのだ、という。「トランプ候補は自分自身で頻繁に話の腰を折るし、非常によく脱線します。実際、私のようにトランプ候補のしゃべり方をモデル化しようとする人間にとって、信じられないほど都合がよいのです」

(関連ページ: DeepDrumpf 2016, “10 Breakthrough Technologies: Deep Learning,” “AI’s Language Problem”)

人気の記事ランキング
  1. AI crawler wars threaten to make the web more closed for everyone 失われるWebの多様性——AIクローラー戦争が始まった
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 好評につき第2弾!研究者のキャリアを考える無料イベント【3/14】
  3. From COBOL to chaos: Elon Musk, DOGE, and the Evil Housekeeper Problem 米「DOGE暴走」、政府システムの脆弱性浮き彫りに
  4. What a major battery fire means for the future of energy storage 米大規模バッテリー火災、高まる安全性への懸念
  5. A new Microsoft chip could lead to more stable quantum computers マイクロソフト、初の「トポロジカル量子チップ」 安定性に強み
タグ
クレジット Photograph by Gage Skidmore | Flickr - Image courtesy of Google Deep Dream Generator
ウィル ナイト [Will Knight]米国版 AI担当上級編集者
MITテクノロジーレビューのAI担当上級編集者です。知性を宿す機械やロボット、自動化について扱うことが多いですが、コンピューティングのほぼすべての側面に関心があります。南ロンドン育ちで、当時最強のシンクレアZX Spectrumで初めてのプログラムコード(無限ループにハマった)を書きました。MITテクノロジーレビュー以前は、ニューサイエンティスト誌のオンライン版編集者でした。もし質問などがあれば、メールを送ってください。
▼Promotion
U35イノベーターと考える 研究者のキャリア戦略 vol.2
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る