いわゆる典型的なジェット・エンジン飛行機には、高速で動くタービンの羽根がいくつも付いている。飛行機に推進力をもたらし、私たちが空へと飛び立つには、タービンやプロペラの回転が必要なのだ。本当にそうなのだろうか?
11月21日のネイチャー誌に掲載された論文で、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者は、可動部品を一切必要としない初の飛行機を作り、飛行に成功した報告している。重さ2.45キログラムの実験用飛行機は、学校の体育館の端から端までの60メートルの距離を、プロペラの羽根を回すことなく進んだ。実験用飛行機は、電気を直接、推進力として使ったのだ。
このテクノロジーをスケール・アップできれば、いまよりもずっと安全で、静かで、保守整備がしやすい未来の航空機を作れるだろう。特に重要なのは、燃焼排出物をなくせる見込みがあることだ。なぜなら、飛行プロセスの動力はすべて電池だからだ。
論文で発表された初飛行は、1960年代から存在する概念の電気空気力学的推進と呼ばれる方法で実現した。概念そのものは、一般的な回転プロペラよりもイメージするのがずっと難しい。「イオン風」として知られるものを推進力に利用するのだ。
電気空気力学的推進エンジンは、非常に高い電圧(実験用飛行機の場合は4万ボルト)を使って2つの電極の周りにイオンを生成させる。電極間に作られた電場では、より小さい電極から大きい電極へイオンが移動する。イオンは移動間に大気中の通常の空気分子に衝突し …