2017年末、ワシントン州のレベン・カーライル州上院議員は、ワシントン州の有権者が炭素税に賛同するだろうと予測していた。環境問題に関する法律を撤回しようとするトランプ政権の働きかけ、そしてワシントン州の森林、鮭、シャチに対する気候変動の影響の増大を背景に、州民たちは最終的に賛成するだろうとMITテクノロジーレビューに語っていた。
だが、カーライル議員は間違っていた。ワシントン州の最終報告によると、住民投票でI-1631法案は否決された。法案が通れば、米国で初めてとなる炭素税が導入され、5年以内に年間10億ドル以上の税収を見込めるはずだったとシアトル・タイムズ紙は報道している。ワシントン州の有権者が炭素税に反対したのはこれで2度目だ。
今回の投票結果によって、ごく自然な疑問が持ち上がる。確固たる民主党支持の州が、高まりつつある気候変動の危機に取り組みつつ、反トランプ熱に後押しされながら、いまだに炭素税を押し通すことができないならば、他の州が炭素税を導入できる可能性がどれほどあるというのか? ましてや米国全体については言うまでも無い。
あるいは疑問への答えはこうだろう。首都ワシントンにおける政治力の大幅な再編成でも無ければ、炭素税はまずありえない。少なくとも国レベルではありえない。11月6日の中間選挙で民主党は下院での議席を取り戻したが、上院では共和党が議席を増やしており、いかなる意欲的な気候変動のアジェンダも阻止する力 …