ドイツと中国は、単により多くの風力発電機や太陽光パネルを建設すれば再生可能エネルギーへ転換できる訳ではないと身を持って理解し始めている。
ドイツの送電網を管理しているドイツ連邦ネットワーク庁から流出した計画書には、送電網が風力エネルギーに対応不可能であることを理由に、ドイツ北部での風力に関する野心的な計画を縮小するために同庁がどのように行動していくかが記載されていたと、ガーディアン紙が伝えた。ドイツ北部では、南部の工業地帯にエネルギーを供給するために、風力発電機の数が急速に増えている。しかし、ドイツ政府は最近になって、風力発電事業者にエネルギーの供給を減らさせるために、この発電事業者に見返りを支払った。というのも、ドイツの送電網の容量が一杯だったのだ。流出した文書は、風力発電機の計画されていた増加数は、結果的に半分になるだろうと示している。
似たような状況は中国にもある。BBCのレポートによれば、稼働の開始と停止に時間がかかる石炭火力発電所を中国は多数建設したが、全体の15%相当の時間、風力発電機の稼働を停止しなくてはならなかった。風力発電機と火力発電所を一斉に稼働させると、両方から生み出されたエネルギーを常に受け入れることが中国の送電網には不可能だったからである。ただし、中国の再生可能エネルギーが送電網の容量よりも大きいと証明されたのは、これが初めてのことではない。いくつかの省では、太陽光発電の設置をあまりに早く進めたために、生み出されたエネルギーの50%も活用できなかった。
この問題は、今後も繰り返されるだろう。インドとオーストラリア両国は、再生可能エネルギーを支援するために、送電網のインフラを強化するプレッシャーにさらされている。全世界で風力エネルギーを採用した最も印象的なお手本は、米国テキサス州だろう。テキサス州北西部の人里離れた地域から南東部の巨大な都市に向けて電力を送る巨大な送電網があって初めて可能になったのだ。しかし、この送電網には70億ドルの費用がかかった。他の国ではまず見込めない額の出費だ。
この記事からひとつの教訓を読み取れるだろう。再生可能エネルギーを迅速に採用することは賞賛に値する。ただし、結果的に生み出されたエネルギーを活用できた場合に限るということだ。
(関連記事:BBC, The Guardian, “China’s Solar Binge Is Turning Into a Hangover,” “The One and Only Texas Wind Boom,” “Renewables Are Booming—but Buyer Beware”)